万人に愛される90点の精神

昨日、寺庭婦人会 近畿地区研修会において琵琶説教をさせて頂きました。今年は滋賀県が当番ということで、近畿の浄土宗寺院の奥様方が約550人 琵琶湖ホテルに集まられ、法然上人のご遺徳を偲びました。私の出番は 「今年の漢字」で有名な 清水寺貫主・森清範師による ご講演の後で、皆様の念仏に迎えられ ステージに立ちました。滋賀教区の講師として 若輩者が 大役を頂いたこと、まさに感無量でした。

説教前、貫主さまから「あなたのモチベーションは?」と尋ねられ、「ワクワク感です!」とお答えしました。僧侶ですので、法を説くことが前提の生活ですが、どうしたら 楽しく布教ができるかを いつも考えてきました。琵琶説教の制作は大変ですが、苦と思ったことはありません。それは「(法話や芸を)極める」のではなく「(楽しく)伝える」ことを旨としてきたからだと思います。未熟な点が多いことは重々承知してますが、やはり、ワクワク感が伝染する気持ち での布教活動が、私のモチベーションでした。

滋賀県を代表するラーメン店の一つに「來來亭(らいらいてい)」があります。豆田敏典社長のお言葉を紹介します。

「少数に支持される100点の味より、万人に愛される最高の90点を目指す」

これは、人気取りのポピュリズム精神ではありません。満点を追求するあまり、自己満足になってはいけないという意味だと存じます。たとえ一部のマニアに認められなくても、多くの方に愛されることの重要性を説かれているのです。これは お念仏の教えにも通じます。南無阿弥陀仏のみを唱える修行は、あらゆる仏道に精通した人にとっては 頼りなく思えるかもしれません。しかし この世で悟れなくても、来世、極楽浄土で悟ることが出来れば、結果は同じです。同じどころか、救済力でいえば「万人が救われる念仏」の方が優れているといわざるをえません。

私の布教方法は、法話や琵琶を専門にされてる人々からは支持されにくいと思います。たまたま僧侶と琵琶をしていたラッキーボーイ的な存在でしょう。しかし その強みは、琵琶ファンや浄土宗の方のみならず、他宗教、一般の方々にも伝道しやすい環境にあることです。私は、常々 布教や琵琶を極めた方との架け橋となり、多くの方に仏縁を結んでいきたいと考えています。未熟な者だから出来ることがあると思うのです。行動を起こさず、評論ばかりする若者が多いですが、まず自分は世の中に何が出来るのか?ワクワク感をもって一歩踏み出しては如何でしょうか。合掌

 

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