本日は「文化の日」です。皇居では文化勲章の授与式が行われます。また、文化庁の主催する芸術祭など、文化にまつわる行事が各地で開催されます。博物館の中には この日を入館無料にする所もあるようで、普段、芸術に興味のない方でも、文化に触れるよい機会かもしれません。日本の文化を 皆で形成していきたいものです。
先日、京都當道会さま主催の演奏会で、ゲストとして琵琶を語らせて頂きました。この催しは「京都府次世代等古典芸能普及推進事業」として、文化の継承と発展を目的とされたものです。実は 会場となった、京都府民ホール・ALTI(アルティ)での演奏は 私の あこがれ でした。その理由は、以前このホールで 盲僧琵琶の故 永田法順氏、薩摩琵琶の須田誠舟氏、そして筑前琵琶の師匠、田中旭泉先生という豪華メンバーでの琵琶コンサートを拝聴したことがあり、私もいずれ この舞台に立ちたいと思っていたからです。人から見れば とても小さな夢ですが、私は 常々、”今の自分” にできた「小さな達成感」を大事にしています。他人との比較で得る達成感では、自分を見失うからです。
お釈迦さまは、『因果経』に次のようにお説き下さいます。「過去の因を知らんと欲すれば 現在の果をみよ。未来の果を知らんと欲せば 現在の因をみよ」。因は”原因”で、果は”結果”のことです。つまり、過去や未来の自分を知りたいならば、”現在の己の姿” を見よと仰せなのです。
よく悩み相談で、日々の努力が なかなか形に表れないと嘆く方がおられます。未来が見えないのは本当に苦しいことですが、しかし そのような時こそ、”現在の己の姿” を見つめ直すべきだと思います。この世界は、完璧な ”因果の法則” で成り立ちます。一寸の狂いもありません。そのために、大きな夢も大事ですが、まず ”今の自分” にできた「小さな達成感」を素直に喜び、未来への励みにすべきではないでしょうか。世界に誇る日本文化も、先人による 日々の努力や 達成感の積み重ねが、今日に伝わっているものと存じます。「文化の日」は、そういった ”積み重ね” を感じる日でありたいと思います。合掌