先月10月25日、滋賀県浄土宗檀信徒大会で、琵琶説教をさせていただきました。会場は、地元の近江八幡市文化会館。1000人規模の檀信徒の皆様が一堂に会する中で 自身が創作した法然上人の物語を語るというのは、感慨深いものがありました。
演奏前、スタッフの方から「こんな大舞台で緊張しませんか?」と聞かれました。けれど、不思議と私は緊張しないのです。それは、モノマネ芸人・コロッケさんの座右の銘である「相手一番、自分二番」という言葉に尽きます。
自分がうまく語れるか、拍手があるかどうか、そんなことを考えていたら、体は固まり、心は乱れます。でも、私が舞台に立つのは「自分を見せるため」ではありません。語る物語の登場人物、そして聞いてくださる方々に光を当てるためです。その瞬間、私は「自分」ではなく、ただ物語を運ぶ器になります。だから緊張しないのです。
琵琶説教とは、物語の登場人物が生き、苦しみ、祈る姿を、自分の体を通して伝える。そのとき私は、語り手でありながら、もう一人の聴き手でもあります。つまり、舞台の中心にいるのは、私ではありません。物語の中に生きる人々、そしてそれを聴いてくださる皆さまです。私はその間を結ぶ橋でありたいと思います。光が当たるのは、常に相手。だからこそ、自分の中にも静かな光が灯るのです。
「相手一番、自分二番」
この舞台を支えてくださった実行委員の方々、奉仕を賜ったお上人方、役員の皆様、また聴聞してくださった檀信徒の方々に、心より感謝申し上げます。また、僧侶生活30年あまりの道程の中で、学びを支えてくださった多くの方々にも、深い敬意と感謝を捧げます。合掌





