今回の授戒会に当たり、住職には強いこだわりがありました。それは ご随喜(お手伝い)いただく僧侶方のことです。
近江八幡市内周辺の浄土宗寺院は約44ケ寺あります。その地域を蒲生(がもう)第三組といいます。その中でも一部から四部まであり、西願寺は蒲生第三組第一部に属しています。一部は12ケ寺あり、兼務を含めると住職方は10名いらっしゃいます。常に大法要はこのメンバーで勤めます。
私の強いこだわりとは、この10人の僧侶方を中心に配役をすべて回したかったのです。授戒会は、寺院によって必ず行わなくてはならないという強制はありません。ですので、巡りによって なかなか経験することが出来ない若い僧侶もいます。ですから なかなか難しい要望でしたが、皆様が理解し、頑張って下さいました。
伝戒師・・・戒を伝授する僧侶(私)
説戒師・・・受者に戒を教える僧侶
回向師・・・先祖回向やお経を先導する僧侶
総監・・・全体を把握し、指導する長老僧
教授師・・・受者に指導する僧侶
伝巻師・・・巻物や塔婆等を書く書簡の僧
受者係・・・常に受者の側について助ける僧侶
殿司・・・儀式全般を裏回しする僧侶
説戒師係、導師係・・・着付けや引率等の世話係
ざっとあげても、これだけの役職があります。剃度式や正授戒の儀式になると、さらに複雑な配役になります。すべて重要な役職ばかりですが、特に説戒師と回向師は専門的ですので、客僧として外部からお招きするのが通例ですが、私は これらまでも部内の僧侶方でやろうと願ったのです。
この心は 現在の部内住職方の充実から来ています。幸いにも第一部は 皆様が研鑽されてる地域で、今なら経験豊富な先輩方からは色々教ていただくことができ、中堅、若手は育ち合いながら、次なる発展を望む意味合いがありました。あと授戒発足の決断が数年前後しても、このメンバーでの成立は難しく、絶妙なタイミングだったと存じます。
私の祖父(師匠)は 僧侶であり教育者でもありました。生前、常々、この言葉を好んで説いてました。
一年先を思う人は花を育てなさい。
十年先を思う人は木を育てなさい。
百年先を思う人は人を育てなさい。
今月の7月21日で、大正12年生まれの先々代・定雄老和尚は生誕100年になります。孫の私がさらなる100年先の仏教会を思い、師匠の意思を引き継いだ形となりました。西願寺授戒会から、各ご寺院の益々のご繁栄、さらには蒲生第三組第一部・檀信徒各家の念仏興隆をお祈り申し上げます。
部内や随喜の僧侶方、立派な授戒会をありがとうございました。西願寺の受者に成り変わり厚く御礼申し上げます。合掌