人形供養

先日、公益会館さま主催の「人形供養」にお招きを受け、おもい入れのある人形の供養をさせていただきました。供養の日は3月26日。ちょうど「ひな祭り」の月でした。今でこそ 女の子の成長を祝う ひな祭りですが、かつては男女関係なかったと云います。本来は、すべての子供の成長を祈り、絢爛豪華な人形を祀るのが ひな祭りなのです。

3月3日、桃の節句は ひな祭りです。

3月3日、桃の節句は ひな祭り

人形の供養は 「流しびな」が発祥だと云われます。人形(ひとがた)を紙で作り、自分の持つ ” おもい ” を書き込んで海や川に流し、厄落としをするという民俗信仰ですが、ひな祭りの風習と合わさり「人形を飾ると、幼い子供の身代わりとなって厄災から守ってくれる。そのお役目を果たした人形を丁重に供養しよう」という習慣が生まれたと思われます。今は 一口に人形と言っても 様々な形・用途がありますが、その根底には、その物への ” おもい ” が込められていました。

京の流しびな 下鴨神社の風景

京の流しびな 下鴨神社の風景

身代わりの人形「ひとがた」

身代わりの人形「ひとがた」

実は、この「おもい」というものには3種類あることはご存知でしょうか?
” 思う→想う→念う ”・・・右に行くほど「おもい」が強くなりますが、よく見ると すべて「心」という文字が付いています。人間は、やはり「心」で「おもう」のです。そして「おもい」の違いは、上に付く文字で見分けます。            
思う … 田に心と書きますが、田は頭を意味します。頭と心ですので、いわゆる頭で物事を考え思うこと。つまりは、頭による 浮かんだ思いのこと。
想う … 相の心、相手への心遣いです。ある対象を思い描くこと。つまりは、想像の想ですから、「思い」よりも、ある程度継続した 想いのこと。
念う … 今の心。いわゆる、込めたおもい。音読みでネン。念力という言葉があるように、辞書には「心中深くかみしめる。いつまでも心中に含んで考える」とあります。

しかし 現代は、あまり一つのことに「おもい」を寄せることが少なくなってきました。便利な世の中になりましたが、物は使い捨て … ご飯を食べるときも携帯を見ながら … 「おもい」の低下で、感謝の気持ちをなくしているのが現代人だと思います。そんな中、しっかりと「人形供養」を勤められる方々は、本当に尊いものだと感じました。 「おもい」の積み重ねが幸福を招くと信じるのが仏教です。人形への おもいが機縁になって、益々のご多幸を得られるようお祈りさせていただきました。関係者の皆様、参拝の皆様、誠にありがとうございました。合掌 

人形たちのお葬式を挙げさせていただきました。人間同様、引導をあげて、魂を抜いて勤めます。

人形たちのお葬式を挙げさせていただきました。    人間同様 引導をあげて、魂を抜いて勤めます。

  

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