十三詣り

今年も十三詣りの季節がやって来ました。土曜日ということもあり、渡月橋では多くの子供達が着物を着せてもらい歩いています。頬笑ましい光景でした。

十三詣りとは、数え年13歳(厄年)した男女が厄難を払い、智慧を授けて下さるように虚空像菩薩を参拝する行事です。13歳は十二の干支が一巡し、自分の干支に初めての年で、子供から大人へ成長する時期なんですね。同じ子供を祝う行事でも、関東では七五三の方が盛んだと聞きました。どちらにせよ人生の節目を祝う行事は大切だと思います。

しかし現代は、別の意味での「七五三」が問題になっているようです。それは若者の早期離職率です。就職三年以内に、中学卒では約7割、高校卒では約5割、大学卒では3割余りが離職しているとのこと。この問題の原因は、様々な要因が考えれますが、ある方は、若者にプレッシャーやストレスを与えないよう、大人や社会が様々な配慮を積み重ねてきた結果だと指摘されていました。徒競走で全員が手をつないでゴールインするとか、通知簿で5や1をつけないなど競争を否定し、結果平等的な考えが蔓延しているからだとおっしゃるのです。これが早期離職に繋がるのはにわかに信じ難いですが…確かに、現実の社会は結果がすべてです。学生時代は言い逃れや言い訳が通用しますが、社会では通用しません。さらには、非合理や理不尽と思えることが沢山あります。残念ながらそれが人間社会です。そう言った意味で、過保護にされ、大きな挫折を知ることなく育ち、社会に巣立っていった若者が、現実の社会に落胆して離職するのは一理あると思いました。

考えてみれば、佛教の開祖であるお釈迦様も、法然上人であっても、その他の祖師方であっても、若い頃の挫折を翻して、我々に真理のみ光を与えて下さる存在になられたのです。佛教は「因果応報」という言葉に代表されるように「結果平等」ではなく、「結果公平」を説きます。佛縁を結べる「チャンスは平等」ですが、「結果は公平」だと…肝に銘じたいと思います。

若者の早期離職者が増えると、低所得による不安定な生活につながり、結婚も難しく、少子化を招いて日本から未来が奪われます。なかなか難しい問題ですが、今回の十三詣りや七五三、年回等の日本の素晴らしい節目行事に、少しでも自らを見直せる時間がとれればと感じました。合掌

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