先日の暦は「穀雨」でした。「穀雨」とは「雨が降って百穀を潤す」という意味からきている言葉で、この時期はやわらかい春雨が降る日が多くなります。
この穀雨で、嵯峨嵐山にある奉職寺院の桜は全て散りました。今年も綺麗な花を咲かせてくれたことに感謝をしつつ、境内の掃除をしておりましたら、志村ふくみ様がお詣りに来られました。志村先生は 染織家として永年に渡りご活躍され、重要無形文化財保持者(人間国宝)であられます。同じ近江八幡の出身ということもあり、法事にお伺いした際には、洋子先生と共に親しくお話させていただいてます。
そんな志村先生から教わったことですが、まだ粉雪の舞う頃の桜の「枝」を煮出して染めると、ほんのりした樺桜(かばざくら)のような桜色が出る。しかし、綺麗な桜の花の「花弁」を集めて染めても、灰色がかった薄緑色になってしまうそうです。
私はてっきり、美しい桜色に染まった糸の着物は、桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだと思っていました。しかし実際には、桜の「皮」から取り出したとのことで驚きでした。桜の花が咲く直前、あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、得も言われぬ桜色がとれるそうです。
咲いた花見て 喜ぶならば 咲かせた根元の 恩を知れ
私の大好きな言葉ですが、これは真理だと思います。
今、花咲いている(生かされている)者は、樹木全体(周りの支援)や根元(ご先祖様)のお陰を知るべしだと…そのことを知らずに、全てが自分の手柄だと思い、先人の遺産を食いつぶすようではいけないという戒めですね。
落ちた桜の花びらを掃除しつつ、そんなことを思いました。 合掌
と、ここまで記した時に、女優の鶴田真由さんがお詣り下さったのでご案内して来ました。憧れの方にお出会いでき嬉しかったです。
お聞きすると、志村ふくみさんとの対談の帰りだということでした。凄いご縁ですね!(笑)