4月になりました。新年正月は 自らの内面を切り替える時期ですが、新年度は 環境自体が変わる月となります。奉職寺院にも ある企業が新入社員研修の一環で 参拝に来られました。立場上、助言を求められることがありますが、私は 「素直な心」が大切だとお答えしています。
その実践は「挨拶(あいさつ)」から始まります。この言葉はもともと仏教の言葉だということはご存じでしょうか。禅寺で行われていた問答が由来で、「挨」は押す、「拶」は迫るという意味です。自らの心を押し開き、相手に迫る(コミュニケーションを交わす)のが挨拶です。” 心のドアノブは内側にしかついていない ”という言葉がありますが、まず自ら心を開くことが全ての基本だと存じます。
松下幸之助氏は「素直な心というものは、すべてに対して学ぶ心で接し、そこから何らかの教えを得ようとする謙虚さをもった心である」「素直な心というものは、広い視野から物事を見、その道理を知ることのできる心である。素直な心がない場合には、とかく物事にとらわれがちとなり、ついつい無理をしてしまうことになりやすくなる。素直な心になれば、すべてに対して順応していくことができるから、何でも自分の思い通りにすることができるようになる」とお説き下さってます。
物事には道理(物事のそうあるべきみちすじ)があります。道理に従えば順調に進む。道理に逆らうと無理が生じ、思うようにはいきません。たとえば、人に不満があるからと言って相手を変えようとしても無理な場合がほとんどです。人にイライラしてしまうのは(無意識に)相手が変わることを期待しているからです。「相手がそのままでいい」と思えるのなら、そんなにイライラしないはずです。人にイライラしたくないのなら相手が変わることを期待するよりも自分(の考え方)を変えるほうが道理ではないでしょうか。
私は新年度になると、いつもこの言葉を反芻します。4月は心のドアを開いて世の中に順応する時期だと存じます。皆様、御自愛の上、精進なさって下さいませ。合掌
※オアシスあいさつ運動 オ「おはようございます」 ア「ありがとうございます」 シ「失礼します(失礼しました)」 ス「すみません(すみませんでした)」