こんにちは。本年最後のブログとなりました。皆様、大変な一年だったことと存じます。住職も色々経験しましたが、これほど ” 諸行無常 ” を感じた年はありませんでした。
仏教では、我々は「魂の存在」だと教えます。その魂が生身の身体に入り、私達は人間になっています。その寿命が尽きると 生前の生き方(業)によって次の生が決まり、地獄、餓鬼、修羅、畜生、人間、天上界と 生まれ変わり死に変わりを繰り返すと云います。その6つの世界を「六道」といい、仏教(念仏の教え)は、六道(苦しみの輪廻)から魂が解脱する方法を教えます。
人間世界は一言で言うと、諸行無常の苦しみの世界です。誰もが幸福になる努力をしますが、結局 思い通りにはなりません。叶ったとしても長続きはしません。そんな中、永遠に生きるのではないかと錯覚し、不安、混乱の中で生きるのが人間なのです。みんな諸行無常に翻弄されているのです。諸行無常は言い換えれば ” 裏切り ” です。努力の如何に関わりなく 積み上げてきたものが時間と共に壊され(裏切られて)苦しむのです。
千年前の日本人は 人生をどう考えていたんでしょうか。清少納言の『枕草子』を読んでますと、なるほどと思う段(第68段 たとしえなきもの)がありました。
(意訳)
あまりにも違いすぎて、比べようのないもの。
夏と、冬と。
夜と、昼と。
雨の日と、晴れの日と。
人が笑っている時と、腹を立てている時と。
年老いた人と、若い人と。
白い人と、黒い人と。
自分が思いを寄せている人と、自分が憎んでいる人と。
同じ人なのに、自分に愛情を持っていた時と、心変わりしてしまった時とでは、全く別人のようにしか思えません。
(『こころきらきら枕草子』木村耕一著)
今も昔も、季節も、天気も、人の心も、全く思い通りにはならないんですね。努力云々ではなんともならない・・・うまくいってもコロコロと情況が変わるのが人間世界と教えてくれます。それにしても、最後の一文「 同じ人なのに、自分に愛情を持っていた時と、心変わりしてしまった時とでは、全く別人のようにしか思えません 」にはハッとしますね。これこそ諸行無常の極みです・・・。
住職には 多くの方が正直な気持ちを吐露して下さいます。本音を話す場所はなかなかないのを知ってますので、どんな話題でも誠心誠意聴くようにしています。そして あえて答えを出しません。100パーセント共感をし、相談者に考えてもらうようにします。その苦しみは彼(女)らの問題集ですから。しかし前提だけはお話します。
「私達は 努力に反して ” 裏切り ” がセットにある世界に生きています。勇気を持って ” いずれ失われること ” に目を向けましょう!」
このことを心に留めるだけで楽に生きられる事と存じます。精進は大切ですが、どうぞ自分を責めないで下さい。心配しなくても 解脱(往生)をしたらすべて還ってきますから。私は誰でも往生する方法を知っています^^
では、また来年。有難うございました。合掌