先日、西願寺で地蔵盆を勤めました。今年は おつとめ・法話の後に、大道芸をされる方をお招きして披露いただきました。若い方でしたが、汗をかきながら懸命にされるお姿に、子供たちは目を輝かせていました。やはり、生の緊張感や息づかい、そして迫力。これが人を惹きつける醍醐味ではないでしょうか。
それは 大勢の子供たちが遊んでいる風景を観察していれば わかります。その中に、人を引き寄せる子が 必ず現れるのです。それはどんな子かというと・・・ ” 楽しそうに遊んでいる子 ”、” 夢中になって遊んでいる子 ”、” 思いっきり本気で遊んでいる子 ”です。本気で楽しんでる人の周りには、楽しくさせてくれそうな気配があります。その空気を、子供たちは敏感に感じとっているのだと思います。
最近は、どの地域も 地蔵盆に子供が集まらないと聞きます。その要因の一つに、地蔵盆 本来の精神をなくしていることがあげられると思います。見守り下さるお地蔵さまに感謝を捧げるのがこの行事で、それを ただのお楽しみ会 にしてしまうから、大人も子供も戸惑うのではないでしょうか。要は 本質をどれだけ 本気で楽しめるかです。「子供には難しいことはわからない。面白いことをすれば喜ぶだろう」という安易な発想では、心は通いません。現代の人間観は、人の幸不幸は ” 体の外 ” から来るものと信じられますが、仏教では ” 心の中 ” にあると断言します。” 人を引き寄せる力 ” で申すならば、本気で楽しむ心 が 大事になってくるのです。
現代は、世代を超えて 集まる環境が少なくなりました。このような時代だからこそ、地蔵盆という行事が ” 心の教え ” を真剣に語れる場になることを願います。インターネットや本等の 好きなものを選んで得る知識 では、成長や感動の幅が少ないのではないでしょうか。やはり、人と腹を割って話すことが大切です。お寺には利害関係がありません。参拝の老若男女が、夢中に、本気で、楽しく真理を話せる空気が、西願寺に醸し出せるようになるのが住職の夢です。合掌