紅葉も一段落し、師走となりました。先日までの観光客の賑わいも 嘘のように 静かです。それほど 紅葉は人の心を魅了するのだと思います。紅葉は 樹木が冬じたくをしている姿といいます。葉を落とすために、秋になって気温が下がりだすと 糖分や水分などの供給を止めます。すると、葉の中に残った糖分によって色素が目立ってくるので、イチョウは黄色、カエデなら赤の紅葉 になるのです。
紅葉が終わると、人は樹木に見向きもしなくなりますが、植物にとっては目標達成の瞬間です。散り紅葉は 決して ” 虚しさの象徴 ” ではありません。日本には春夏秋冬があり、生物は冬を乗り越える知恵をめぐらしています。物言わぬ植物でさえ、このような生々流転をくり返し生きているのだと思うと、感慨深いものがあります。
アンドリュー ・マシューズの言葉です。「この地球上においては、何事もスムーズな直線では進まないということです。時に歩みを止め、時に逆行しながら進んでいくのです。潮が満ちてくる時、それは引いては返しながら、少しずつ進んでいきます。木の成長過程では、季節によって葉を落としながら、そのたびに少しずつ縦に大きく伸びていきます。葉を失い、自然と戦いながら、木は大きく成長するのです。ですから地球上の自然現象においては、後戻りするように見えることも、実は成長過程の1つの段階なのです」 (『人生の愉しみと成功 5つの決心』三笠書房)
今年一年、順調だった方、逆境続きの方、様々おられると存じます。しかし、この言葉より、目に見えた右肩上がりの人生はなく、逆に困難の時にこそ、明るい未来への準備期間ということがわかります。すべての出来事に無駄はありません。すべてが成長の糧だと捉えれば、さらに有意義な人生が歩めるのではないでしょうか。合掌