夏至

今日は「夏至(げし)」です。1年の中で最も昼間が長く 夜の短い日で、「 冬至(とうじ)」(12月22日頃)に比べると、昼間の時間差は4時間50分もあるそうです。私はもちろん日が長い方が好きですが、夏至と冬至のどちらが好きかと聞かれれば、なぜか「冬至」と答えてしまいます。わけは「冬至」はこの日を境にどんどん日が長くなり、先に希望が見えてくるからです。一方「夏至」は、その日が頂点で、これから暗くなるイメージがあるからです。

この考えは、仏教の影響からきていると思います。例えば、浄土宗の総本山は「知恩院」ですが、徳川家が建てた立派な大殿のてっぺんには、不自然な2枚の瓦がのっています。この瓦は、名工・左甚五郎(ひだりじんごろう)が【 完成したものは滅びに至る】・・・ とあえて瓦を残し、未完成にした為だといわれます。完全な姿 に造ってしまうと、繁栄の頂点を意味し、それから後は下り坂を 意味するからだそうです。西願寺の「骨佛」の壁画もあえて「二十五菩薩」から、「二十四菩薩」にしてるのもこのためです。(西願寺の七不思議③参照)物事は、ここが頂上だと思うと上手くいかなくなるものです。

先日「ノミの特集」がテレビでやってました。サーカス用のノミは訓練の最初の段階で、背の低い箱に閉じ込められるそうです。ジャンプすると頭を箱の天上にぶつけるので、その箱の高さ分だけしかジャンプしなくなります。その後、箱を取り払っても箱の高さ分だけしかジャンプしなくなります。本当はもっと高くジャンプできるはずなのに飛べません。自分で壁を作ってしまうんですね。現状が完全だと思うと、伸びなくなる例えだと思いました。

本日は「夏至」の悪口みたなブログになってしまいましたが(笑)、私が言いたかったことは、この世の中には「完全なのもの」はないということです。昼間が最も長い「夏至」であっても、梅雨時で日の長さをあまり感じません。要は、現状を完璧だと思い、おごり高ぶること…これこそが、我々の敵であります。日々の精進に勝るものはありません。

最後に、法然上人のお言葉を紹介いたします。

一丈の堀を越えんと思う者は、一丈五尺を越えんと励むべきなり 合掌

 

 

 

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