先日、山口県は周防大島で 琵琶説教を勤めてきました。広島駅から在来線で約一時間半。大畠駅から車で小一時間の 沖家室(おきかむろ)島にあるお寺です。ここには『まんが日本昔ばなし』にも放映された「ふか地蔵」がいらっしゃいます。10年ぶりの仏縁でした。今回は5日間で8席、『法然上人御一代記』をお聴き頂きました。この法要は「回向法要」と言って、檀信徒が一年間に積んだ念仏の功徳を ご先祖さまや 世の中に回し向けるために勤められています。ご本尊からの御手(みて)の糸が、境内に建てられた大塔婆に繋がっている様子は圧巻でした。江戸時代から244年目の伝統行事で、とても深く、重みのある法要でした。法灯を絶やすことなく 最後まで勤められたことは、私にとって大きな自信となりました。有縁の皆様、本当に有難うございました。
最近、琵琶説教で伺うと よく言われることがあります。「あんた、テレビに出れるで!」・・・。その方にとって、最大の褒め言葉なのかもしれません(笑)。実際、先日、NHKの有名なテレビ番組への出演依頼がありました。担当の方に誠意あるお言葉を頂戴しましたが、丁重にお断りしました。私にとって琵琶説教は「芸」ではなく「布教」です。テレビ出演のメリットはあるでしょうが、やはり布教は 聴衆と同じ空気を吸って成り立つものだと思います。編集された画面からでは伝わりにくいと思うのです。まして まだまだ浅学の身、自分を見失うことのないよう精進していく所存です。
心理学者・多湖 輝 氏のお言葉です。「ゆっくりと、しかも着実に」は、ものごとを成しとげる基本とされているが、どんなにわずかなレベルアップでも、レベルアップしたという実績が、人の心に与える力は実に大きい。大目標をいきなりめざすより、小目標を一つずつ達成していくことが、自信を生む源泉なのである。ところが、世の中には、自分自身に大目標の無理難題を背負わせて、いたずらに焦燥感にかられたり、自信を喪失したりしている人が少なくないのだ。小さな目標を一つずつ達成することが自信を生むのだ。(『1日1践!かんたん「自己暗示」で一生が変わる』 ぜんにち出版)
何事も一歩づつ、分相応に進んでいきたいと思います。それが自信になり、次の一歩に繋がります。回向法要の檀信者さまのコツコツとした姿勢に、その思いを強く致しました。合掌