やりたいことをやる

本日、灘(なだ)中学校へ講演に行ってきました。灘校といえば進学エリート校で有名です。どんな子達が集まっているのか興味がありましたが、色々お聞きをすると、創立にあたって 講道館柔道の創始者・嘉納 治五郎 氏が顧問として参画しましたので、柔道の精神として唱えた「精力善用」「自他共栄」が校是となっているようです。ですから、柔道が全員 必須になっており、講演も柔道場で行いました。まさに文武両道の学校です。

また、生徒をできるだけ紳士として扱おうとしている為、明文化された校則がなく、風紀について大部分を生徒の良識に委ねるなど、自由な校風が特徴のようです。もちろん制服もありません。まさに” やりたいことをやる ” 。自主性を重んじた雰囲気の学校でした。

森山 透 氏のお言葉です。
「歩けるうちに、行きたいところへ行け」山へ、川へ、森へ、浜辺へ、外国へ…「目が見えるうちに、見たいものを見よ、美しいものを見よ」青い空や海を、緑の山々を、木々の青葉や紅葉を、子供たちのはね回る様を、色と形と大きさの違う花々を…「耳が聞こえるうちに、聞きたいものを聞け」鳥のさえずりを、岸辺に打ち寄せる潮騒を、木の葉を縫ってそよぐ風の音を、あどけない幼子たちの上げる喚声を。「やれるうちに、やりたいことをやれ」ピアノが弾きたい人はピアノの前に座って鍵盤を叩き、写真を撮って回りたい人はカメラのシャッターを押して回り、泳ぎたい人はプールに入って、民謡が好きな人は腹の底から声を張り上げ、絵が描きたかった人は絵の具をつけてキャンバスに置く…なぜそんなに急ぐのかと訊かれそうですが、せかそうというわけではなく、行うに躊躇する必要はないという意味です。何故なら「やりたくてもできない」ときがきます。それもそのときになって振り返ってみると、今との間にそれほどの長い時間が流れたとは思えないほど近い将来かもしれません。過去を振り返れば、10年、20年、いや30年という歳月が、どれほど短いものだったかは、私たちがよく知るところです。(『自分の「好きなこと」「やりたかったこと」をやろう』 サンガ)

まさに その通りだと思います。住職も 正月から過密スケジュールになってしまい、やりたいことも ママなりません。やりたいことをやれるのは 若者の特権です。歳月の流れがいかに速いものか・・・聴講してくれた182名の子達は、阪神大震災を知らない世代です。21年前、当校も震災に遇い、保健室が臨時の診療所として使用され、体育館は緊急の遺体安置所として開放されていたことを記憶しています。先人の尊い行いは風化させてはいけません。人生の先輩は、謙虚に 歴史や経験を伝え、若者は、素直に その精神を継承しつつ、様々なことにチャレンジすることで 世の中が活性するものと存じます。その核となる精神が 現代人に足りないのだと思います。灘校の生徒諸君には、「精力善用」「自他共栄」の精神で、将来の日本国を牽引して頂きたいものです。合掌

「精力善用」・・・「心身の持つすべての力を最大限に生かして、社会のために善い方向に用いる」という精神。
「自他共栄」・・・「相手に対し敬い、感謝することで、信頼し合い、助け合う心を育み、自分だけでなく他人と共に栄えある世の中にしようとする」という精神。

※浄土宗新聞2月号に琵琶説教が掲載されました。トップ画面の「掲載記事」から ご覧ください。

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