啓蟄

「啓蟄(けいちつ)」となりました。春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃をいいます。「啓(けい)」「ひらく、開放する、(夜が)明ける」「蟄(ちつ)」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる」の意味があります。

昆虫だけでなく、人間も暖かさによって開放されます。ただ本能で動く動植物とは違い、人間は 人々の言動が大きな影響力を持ちます。例えば ひとりの人間は、家族や友達、知り合いなど、およそ300人と深いつながりを持って生活しているといいます。ですから、ひとりの言動は、直接 300人に伝染するのです。また、その一人ひとりは別の300人とつながりをもって生きているわけですから 300人×300人で、最終的には9万人にも影響が及ぶのです。あくびが周りにうつるように、良くも悪くも 一人の言動がレーザービームのように伝染していくから怖いものです。

南無阿弥陀仏には「融通念仏(ゆうずうねんぶつ)」という教えがあります。これは「一人の念仏が万人の念仏に通じる」という教えで、ひとりの唱えた念仏が他に影響を及ぼし(阿弥陀仏の力が融通しあい)素晴らしい世界ができるというのです。世の中ために、身近にできること。それは 人のために南無阿弥陀仏を唱えることと教えられるのです。お念仏は 人々に幸福への種まきをする行為であり、ひいては自らの「絶対の幸福」につながっていきます。それは「啓蟄」の暦が示すように、春の暖かさ(弥陀の慈悲)で生物がどんどん地上(極楽浄土)へ生まれてくる姿にも似ています。人生の目的は、慈悲を感じられる開放的な心。つまり「蟄(ちつ)」から「啓(けい)」に目覚めることではないでしょうか。

覚えておきましょう。私達は常に9万人以上の人とつながっているのです。目の前にいる人を幸せにしようという念仏が「絶対の幸福」を開く扉となるのです。合掌


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