一本歯下駄はご存じでしょうか。ここ数年、この高下駄を愛用しています。平安時代より、修験者が山中を行くときに履いていたといわれ、通称・天狗下駄ともいいます。
現代は健康志向で 様々なトレーニング機器がありますが、文化的なもので 体感やボディバランスが鍛えられるものを探した末、この下駄にたどり着きました。お陰で 徒競走が苦手な息子達も、一本歯で寺の境内を走り回り、運動会で1位がとれました。またリハビリ機器の側面もあり、腰痛や膝痛にも効果があるようです。一本歯は 常に重心が不安定で、体重の負荷が一カ所に集中できにくくなります。つまり負荷は他の部位に分散しますので、腰や膝への負荷は軽くなるのです。さらに体重が減り、足のO脚も改善され、何より姿勢が良くなります。和文化は凄いですね。楽しみながら鍛えられるのは嬉しいです。
教育者・上原春男氏のお言葉です。
車のハンドルには「あそび」が不可欠です。あそびがないと「余裕」がありません。余裕がないと「危険」です。このように「安全なもの」「丈夫なもの」には、かならずあそびというすき間が用意されているものです。すき間やあそびが、力を吸収したり、逃すクッションの役目を果たしてくれるわけです。つまり「力を抜く」仕組みがないものはもろいです。本当に強いものは柔軟である。真に頑丈なものは柔らかい部分をもっているといえましょう。このことは人間にも当てはまることです。 (『「抜く」技術』 サンマーク出版)
一本歯下駄は楽しいですが、慣れるまで努力がいります。そんなものを履く意味がわからない…と笑われます。しかし、この遊び心が必要だと思うのです。何でも合理性や理由が求められる今、無駄に見える物が一転、とても価値があることに気付く瞬間があります。あそび、余裕、余白、柔軟性・・・大切です。力を抜いて生きていくことが、真なる力強さにつながるのではないでしょうか。合掌